クロスカブのエンジンは二つの顔を持っています。
タコメーターがないため回転数はわからないのですが、4速60km/hあたりを境にカブの性格が変わります。
そこまでのカブは至ってマイルド。そこより上は急に元気なカブになります。
まるで別のエンジンに切り替わるぐらいの味付けだと思います。
昔の2ストロークエンジンのパワーバンドに似ているといったら言い過ぎかな。
あるいはこのエンジンにはホンダ得意のVTECが入っているのかと間違える(そんなわけない)。

4速60km/hでエンジンが悲鳴を上げ始めるとか、回転が頭打ちになるとか表現する方もいます。
音が明らかに変わるし、ハンドルやステップに伝わる振動も大きくなることからそう感じるのかもしれません。
私もこの回転域からはレッドゾーンで、常用するとエンジンを痛めてしまうかもしれないと思っていました。
けれども、それはレッドゾーンではなく、そこからがこのエンジンのおいしいところみたいですね。
ここをキープすれば街中ではキビキビと車の流れをリードしたり、峠道もそこそこ満足して走り抜けたりすることができるようになります。
ま、長時間この回転数で走っていると振動で手が痺れちゃうので人間がしんどいけれど、2ストエンジンのパワーバンドを外さないようなつもりで走っていると実に懐かしく、楽しく感じます。

一方、低い回転数では、トコトコという形容詞がぴったりの優しい走りです。
普通に走っている車の後ろについているときは、このトコトコがすごく楽なんですよね。
田舎道でのんびり走りたい時も、このトコトコ走りが実にぴったりきます。燃費もすさまじく伸びるし。
これこそ60年以上かけて日本の道になじんできたスーパーカブの真骨頂だと感じさせられます。
でも、ゆっくり走るのがつまらないというわけではなく、ここのトコトコ走りに何とも言えない楽しい味があるのがカブの特徴でもあります。
「カブは風になるのではなく、その土地の匂いを感じることができるバイクだ」と表現された方がいましたが、まさに同感です。
飛ばしても楽しいし(とはいえカブなので常識的な速度ですが)、のんびり走っても楽しい。
一粒で二度おいしい、それがカブ。
